チームを引っ張る力だけがリーダーシップなのでしょうか?

リーダーシップ

他者に影響を与える力のことを【社会的勢力】といいます。組織のリーダーの影響力の基盤はこの社会的勢力です。リーダーシップと言い換えても良いでしょう。

さて、その組織のリーダーにどんな社会的勢力(人に影響を与える力)があるかは、その組織の受け手のメンバーが「リーダーの社会的勢力をどう認知するか」によります。つまり、いくらリーダーが「私にはこんなリーダーシップがある!」と考えていても、メンバーが「それは違うよねえ」と受け止めていたら、そのリーダーには自分が思っているような社会的勢力は無いのです。リーダーとメンバーの認識が合わさって初めて、リーダーシップは成り立つのですね。

リーダーシップのあり方は、組織の成功不成功や方向性を大きく左右するもので、リーダーシップの考え方には様々な理論があります。ここでは、近年注目を集めている【コンセプト理論】についてご説明しましょう。

コンセプト理論とは

具体的な場面を想定して、環境や状況によって【適材適所のリーダーシップ】を研究したのがコンセプト理論です。
コンセプト理論には次のようなものがあります。


1. 変革型リーダーシップ

組織を生存させるために変化を促すリーダーシップです。
リーダー自身の行動や発想といったような、強力な力で組織を引っ張って、組織を変革させて発展させるスタイルです。従業員にマインドの面から影響を与え、感情を揺さぶる事で行動を変えようとするので、リーダーには、メンバーに強い影響力を与えるカリスマ性が求められます。

2. サーバントリーダーシップ

サーバントとは【奉仕する者】という意味を持ちます。
「リーダーはまず部下に奉仕し、その後部下を導くものである」という考えのもとに生まれたリーダーシップです。
部下を何もできない存在と考え、一方的に命令して動かすワンマンなやり方ではなく、部下に組織としてのビジョンを示し、部下の能力を肯定し、部下を信頼して協力し合いながら組織全体の成長を促すことに重きを置くスタイルです。

3. オーセンティックリーダーシップ

オーセンティックとは【本物の】という意味を持ちます。
「リーダー自身がどのようなリーダーになりたいのか、将来どのような姿を目指すのか」といったような、自分なりの明確な目的や目標をもち、その価値観や倫理観にもとづいて行動するスタイルです。
リーダー自身の考えや価値観・倫理観を、弱みも含めて本音で部下に伝え理解を得る事や、真心を持って部下をリードする事、リーダーが自らを律することができる強い意志や、セルフマネジメント能力、高い倫理観や道徳感が必要とされます。

4. トランザクショナルリーダーシップ

アメとムチで部下を管理し統括するスタイルです。このリーダーシップの特徴は2つあります。
① 状況に応じた報酬
成果を上げた部下に正当な報酬を与えます⇒部下が「きちんと評価されている」と満足します。
② 例外的な管理
部下が成果を上げている限り、やり方に関して直接的な指示をしません⇒部下との信頼関係に繋がり、部下の仕事に対する義務感も向上します。

5. Eリーダーシップ

情報通信技術(ICT)の知識や経験を持つリーダーのスタイルです。
グローバル化やデジタル化を想定して、新たなビジネスを作り出したり、今あるビジネスをより将来を見越したものに変えていくための役割を担うポジションです。
Eリーダーとして必須とされるスキルには3つあります。
①戦略的リーダーシップの素質
②デジタルについての知識や経験
③ビジネスについての知識や経験

まとめ

このように、何も強く引っ張るだけがリーダーシップの形ではありません。
「今、このチームにはどんなリーダーが求められているのか?」
例えば変化が必要なのか、現状維持なのか、部下に任せてみる時期なのか。
部下とコミュニケーションを取りながらそれらを見極めて、そのチームの現状に応じたリーダーシップのスタイルを取っていく事が、リーダーには必要です。

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