愛着理論ってどんな理論?

愛着理論を簡単に説明しますと

イギリスの精神医学者ジョン・ボウルビイは

「人間には幼く弱い時期に、自分より大きくて守ってくれる人と繋がろうとする本能がある」

と提唱しました。つまり、赤ちゃんは自分の要求を、抱っこして貰ったりお世話して貰ったりして叶えて貰うことで、養育者への愛着を深めてこころ豊かに育っていく、という理論です。

これを【安定型愛着体験】といいます。安定型愛着体験を積んで育った子どもは、養育者との間に安心で安全な関係性がある事が分かっているので、外の世界に自由に探検に行けます。なぜなら、もし外の世界に探検に行って傷付けられたとしても「傷が痛い時にはいつでも自分を守ってくれる養育者の元に戻ればいい。」という安心感があるからです。安定型愛着体験を積んで育った人は、安定した人間関係を作るのがとても上手です。

逆に【不安定型愛着体験】は、赤ちゃん時代に何らかの原因があって、養育者との間に安定した愛着が形成されなかった状態です。不安定型愛着体験は、成長してからも職場や学校の人間関係だけでなく、『自分自身の感情を調節する』という事にも影響を与えて、こころや身体の不安定を引き起こしたりします。

このように、赤ちゃん時代の養育者との愛着体験が、成長してからの夫婦・恋人・子ども・友人・職場やコミュニティーの中で、安定した人間関係を作り上げる基礎になるのです。これが愛着理論の大筋です。

お母さんと赤ちゃん

不安定型はどうすれば良いの?

では、赤ちゃん時代の愛着体験が不安定型だった場合、大人になってから安定した人間関係を築く事はもう出来ないのでしょうか?取返しはつかないのでしょうか?

いいえ、決してそんな事はありません。最近の神経科学では【何歳になっても脳は変化し続ける】という考えが確立されています。つまり、たとえ赤ちゃん時代の愛着体験が不安定型であっても【成長してから安定型愛着体験を積む事】で変わっていく可能性は十分にあるんです。

では、大人になってからの安定型愛着体験をどこで積めばいいのでしょうか。それは友人や恋人や夫婦や学校の先生等の間で積む事ができます。ですが、不安定型愛着体験を積んできた人は、安定型愛着体験をどうやって積んで良いのか分かりません。なので、安定した人間関係を作る事が難しいですし、相手が安定型なのか不安定型なのかも大きく影響します。

そんな時は「自分と相性の良いカウンセラー」と、安定型愛着体験を積むと良いのです。カウンセラーはプロですから、クライアントを理解しながら過去の傷を癒やしつつ、上手に安定型愛着体験を積ませてくれます。そうやってカウンセラーとの間に信頼関係を築き安心で安全な関係性を作っていけば、そこを拠り所として、外の世界に一歩踏み出す事が出来るのです。私はそんな方たちを沢山見てきました。

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