強い上司が良いという思いが、部下の不安感を強めうつ状態に追い込んでしまう事も
こんな問題が起こったことはありませんか?
「私の部下の新入社員がメンタル不調で休みがちになっています。通院もしていて薬も飲んでいるらしいです。出勤してもしょっちゅう体調不良になります。原因が分からずどう対応したら良いでしょうか?」
という上司からの相談です。
部下の意見
新入社員に話を聞いたところ「仕事が嫌な訳じゃありません。分からない事もちゃんと教えてくれます。だけどグループの雰囲気がいつも張りつめていて、気が休まる時間がありません。息が詰まりそうになって苦しくなるんです。」という意見でした。最初は頑張って出勤していましたが、出勤しようとすると腹痛や吐き気が起こり、勤務中に過呼吸発作も起こすようになってしまったそうです。
相談者の上司は、決して怒鳴ったりする訳ではありません。ですが大変真面目な方で笑顔を見せる事は滅多にありません。ご自分でも「人と世間話をするのが苦手なんです。」と仰っていました。
カウンセリングをしているとこのような相談をたくさん頂くのですが、相談者は「若いうちから仕事が出来て真面目。順調に昇進し管理職となった。」というタイプの上司の皆さんが多いように感じます。
部下に弱みを見せたらいいんです
そこで相談者のこの上司には「部下たちにあなたの弱みを見せて下さい。」とお伝えしました。
「そんな事していいんですか?上司は強くなくてもいいんですか?」と、かなり戸惑ったご様子でしたが、根が真面目な方なので、アドバイス通りに実践されたそうです。
いきなり部下たちみんなの前でご自分の話をするのはハードルが高かったそうで、まずはひとりづつ誘って雑談をする時間を作り、自分の失敗談やダメだと思っている部分を、思い切ってさらけ出してみたそうです。
そうしたら、その上司を中心に徐々にチーム内で雑談が増え、シーンとして冷え切っていたチーム内の雰囲気が柔らかくなりました。そして、入社してすぐにメンタル不調になって休みがちだった新入社員が「凄く仕事がやり易くなりました!」と、元気に出勤するようになったそうです。
強い上司が良い上司とは限りません
上司の雰囲気がそのチームの雰囲気を作ります。
強い上司は仕事も出来て頼りになる反面、部下にとっては近寄りがたく、常にチームに緊張感が漂ってしまいます。そうすると、出勤するだけで精一杯、毎日が緊張感Maxの新入社員にとって、心理的安心感を得られず、こころに大きな負荷がかかってしまうのです。そもそも、仕事の出来る強い上司は、そのチームにとって雲の上の凄い存在なんです。まずは「自分は凄い存在なんだ」と理解して下さい。その上で敢えて弱みをさらけ出してくれると、「こんなに強い上司でも弱い部分はあるんだなあ。」と、部下の自信と安心感に繋がるのですね。