あなたの笑顔は誰のため?

仕事に生きる女子ともなれば、笑顔の仮面を張り付けて業務を遂行する事が、多方面に於いて諸々大変都合がよろしいという事は重々承知でしょう。ですが「他人の為に笑顔の仮面を被る」という状態がノーマルモードになってしまうと、何が本当の自分なのか・自分の本当の気持ちは何なのか・何のために笑っているのかが分からなくなってしまいます。そして、ある日突然こころが「スン…」となり「いったい何やってんの私?!もうヤダ!やってらんない!」と爆発してしまう事があります。
そこで大事なのは「私は私のために笑っている。」という意識を持つ事なんです。

【笑い療法の父】ノーマン・カズンズ氏の話

アメリカ人、ノーマン・カズンズ氏は雑誌の編集長でした。ある日、硬直性脊椎炎という病気にかかってしまいます。この病気は、治る確率が五百分の一しかないという難病です。原因不明、治療法も確立されておりませんでした。彼の場合は身体の痛みが特に激しく【一日中トラックが身体の上を走り回っているような激痛】で、歩く事も出来なかったそうです。ですが彼はわずか数カ月後に症状が良くなり、仕事に戻る事ができました。いったいカズンズ氏は何をしたのでしょうか?

カズンズ氏がしたのは【たくさん笑う事】です

彼は、病室よりもホテルの方がリラックス出来るからと、治療の場所を病院からホテルへ移しました。そして、とにかく笑えるテレビ番組を見て、ゲラゲラ笑って過ごしたのです。効果はテキメンでした。激痛で全く眠れなかったのに、3分間大笑いしたら2時間熟睡出来るようになったのです。彼は、目が覚めたらまた30分間テレビを観てゲラゲラ笑う⇒そしてまた2時間眠る。という事を繰り返しました。

やがてカズンズ氏は歩けるようになり、短期間の闘病で仕事に復帰出来ました。
その後カズンズ氏はUCLA校(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の教授に転身し、精神免疫学の研究に取組みます。彼の研究のお陰で、笑いがこころとからだにもたらす効果が社会的に知られ、多くの科学者が研究するようになりました。

現在、科学的にも笑う事の健康の効果が証明されています

笑って仕事をする女性

① 笑う事でエンドルフィンが体内で作り出されて幸せな気持ちになります

エンドルフィンとは、脳の中で作り出される脳内ホルモンです。鎮痛作用や鎮静作用といった麻薬のモルヒネと同じような作用があるので、【脳内麻薬】と呼ばれています。マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくるランナーズハイは、エンドルフィンによるものだと考えられています。

② 笑う事でセロトニンが体内で多く作り出されて、こころが安定し、頭の回転も良くなり、直観力も上がります

セロトニンとは、脳の中で作り出される脳内ホルモンです。精神安定剤とよく似た分子構造をしているので【幸せホルモン】と呼ばれています。このセロトニンが不足すると、慢性的ストレス・疲労・イライラ・向上心の低下・仕事への意欲低下・協調性の欠如・うつ症状・不眠といった症状がみられます。また、うつ病・パニック障害・不安障害・強迫性障害も、セロトニンの異常が一因だと考えられています。

③ 笑う事で筋力がアップします

笑うと表情筋を鍛えるので筋繊維が太くなり筋力がアップし、いつまでも若々しい表情を維持できます。

④ 笑う事でNK細胞(ナチュラルキラー細胞)が増えて、がん細胞などの異常細胞をやっつけてくれます

NK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは免疫細胞の一つで、生まれつき(ナチュラル)外敵を殺傷する(キラー)能力を備えているので、ナチュラルキラー細胞と呼ばれています。がん細胞などの異常細胞を発見すると、真っ先に攻撃を仕掛けてくれる細胞です。

⑤ 笑う事でコルチゾールが減り、ストレスを減らしてくれます

コルチゾールとは、腎臓の上にくっついている小さな臓器【副腎皮質】から分泌されるホルモンです。ストレスを受けるとこの副腎皮質からコルチゾールが沢山分泌されるので【ストレスホルモン】と呼ばれています。過剰なストレスを受け続けるとコルチゾールの分泌が慢性的に高くなって、うつ病等のメンタル不調に繋がるだけではなく、高血圧や糖尿病といった生活習慣病に繋がる可能性も高くなります。

ここからが重要ポイント

人間の脳は、面白くて笑う【ホンモノの笑い】と、特に理由が無くても笑う【作り笑い】の区別が付けられません!

脳

ですからたとえ作り笑いでも、脳は「楽しいな♪」と勘違いして、幸せホルモンをどんどん出し、ストレスホルモンをどんどん減らしてくれるのです。これを活かさない手はありません。普段の生活、特に仕事中に、笑えるような面白い出来事を待っているだけではなかなか笑うチャンスはありませんね。だったら敢えて笑顔を作って笑顔の仮面を被るのです。まだまだマスク生活が続いています。マスクの下の口角を上げるだけでも良いのです。
そして大事なのは「私は他の誰でもない、私自身のこころとからだの為に、自分の意志で笑顔の仮面を被ります。」という意識を持つ事。これも自分軸です。

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