パートナーとの関係で大事なのは、依存でもなければ自立でもなく、目指すは【相互依存】です
相互依存とは、スティーブン・R・コヴィー博士の著書『7つの習慣』で取り上げられている考え方です。『7つの習慣』は、全世界4000万部を誇る大ベストセラーとして有名な本なので、ご存知の方も多いかと思います。この著書の中で、人は人間関係に於いて連続する3つのステージを経て成長する、と説かれています。3つのステージというのは、
- 依存
- 自立
- 相互依存
つまり、人は【依存】状態からはじまり、【自立】へと至り、最終的に【相互依存】を実現することで、人間関係がうまくいくという考え方です。これはパートナーシップに於いても大いに当てはまる考え方なので、皆さんにご紹介したいと思います。
では、ひとつひとつのステージを詳しくみていきましょう。
1.依存とは
あなたに面倒を見て欲しい
あなたにこうして欲しい
あなたに結果を出して欲しい
あなたが結果を出さなかった
あなたのせいでこうなった
依存状態にある人は、自分の望む結果を得るために「あなたの力(他人の力)」に頼らなくてはいけません。自分が幸せになることをパートナーに委ねていて、パートナーに振り回されている状態です。自分の人生の責任を自分が引き受けていない状態、とも言います。
ここから成長すると【自立】状態となります。
↓
2.自立とは
私はそれができる
私にも責任がある
私は自分で結果を出す
私は選択できる
自立状態にある人は、「私の力(自分の力)」で望む結果を得ることができます。
人生を自分で考えて自分で選択する。そして選択の結果がどうあろうとも、その責任を自分で引き受ける。ですから、自分の幸せがパートナーの状況に左右されません。
ここから更に成長すると【相互依存】状態となります。
↓
3.相互依存とは
私たちはそれが出来る
私たちは協力し合える
私たちがお互いの力を合わせればもっと素晴らしい結果を出せる
相互依存状態にある人は、「私たちの力(自分の力とパートナーの力)」を合わせて、最大限の成功を手にすることが出来ます。お互いの長所を活かして、短所を補い合うことで、相乗効果を発揮できるようになります。相互依存とはお互いに協力しあうということです。
パートナーシップに於いて、目指すべきはこの相互依存なのですが、精神的に自立した人同士じゃないと相互依存にはなれません。依存から一足飛びに相互依存にはなれないのです。
さて皆さんはいま、どのステージに居るでしょうか?
私のコラムでよく読まれているのが、回避型の人について書いた文章です。
ご自分が回避型か、パートナーが回避型で困っている方が多いのでしょうか。回避型の特徴のひとつに【超自立している】という性質があります。
他人に頼れない、全部自分でやらなくちゃいけない、という幼少期の背景があったせいで、大人になってからも他人を信頼出来なくて、他人が怖くて、必要以上に自立した人たちのことです。
自立しているということはステージ2に居る訳ですから、ステージ3まではあと一歩。だけどこのあと一歩がなかなか踏み出せない。なぜなら、相互依存になるために兎にも角にも大事なのが、パートナーとの【信頼関係】だからです。信頼関係が無いと、パートナーとの協力関係は築けませんよね。だけど他人を信頼していない回避型の超自立した人にとって、パートナーを信頼するって凄く難しいからなんです。
さて、相互依存を目指すべく、自分もパートナーを信頼し、パートナーも自分を信頼して貰うこと。そのために大事なのは次の6つです。
(1)相手の立場に立って相手を理解しようとする
(2)小さなことを気遣う
(3)約束を守る
(4)相手への期待を明確にする
(5)誠実さを示す
(6)過ちをしたときは誠心誠意心から謝る
どうでしょう?皆さんは出来ていますか?
とはいえ、私たち人間は完璧な存在ではありませんので、時には信頼を失うような言動も起こします。だけど、普段からこの6つの点を心掛けて実行していれば、すぐにパートナーとの関係が破綻することはそうありません。
パートナーとの間で、例え意見が分かれたとしても、どっちが正解でどっちが間違いとか、どっちが勝ちでどっちが負けとかはありません。相互依存の状態だと、意見が分かれた時は、
「あなたはそういう考えなんだね。私はこういう考えなんだ。」
というように、お互いがお互いの意見を受け入れることが出来るし、
「お互いが望む結果を手に入れる状態」すなわち「相手も自分も勝つ状態」を作り出せます。私の道でもあなたの道でもなく、第3の道を探ることが出来るのです。これをWin-Winの関係と言います。相互依存はWin-Winの関係でもあります。
Win-Winの関係を築くためには、最初に自分の想いをぶつけるのではなく、パートナーを理解しようとする姿勢を取らなくてはいけません。まずはパートナーの話を聴き、パートナーの立場になって物事を考えて感じ、自分とパートナーの意見の違いを尊重し、受け入れる姿勢を取らなくては、パートナーは心を開いて話してはくれません。自分を理解して貰うのはそれからです。
そういう姿勢でお互いに話し合った上で「相手も自分も勝つ」解決策が見付けられない時は「合意しないことに合意する」。つまり、
「私とあなたとでは価値観も目的も正反対だから、契約を交わしません。」
という合意をするのです。この選択を「No Deal」と言います。
「No Deal」をひとつの選択肢として持っていれば、自分の希望通りにしようと必死になって、パートナーを操ったり縛ったりしなくて済むので、相手も自分も心を開いて話し合うことが出来ます。とはいえ「No Deal」をひとつの選択肢として自分が持つためには、やはり土台に「お互いが精神的に自立した者同士であること」が必要なんです。
いま、
依存状態の方は自立を目指しましょう。
自立状態の方は相互依存を目指しましょう。
参考文献:7つの習慣 スティーブン・R・コヴィー著