お母さんと見えない鎖で繋がれて

お客様相手の職業に就いているのに言葉が出ず、仕事に支障をきたしている方がいます。
どうしても文字が書けなくて、仕事に支障をきたしている方がいます。
同僚のやることなすことが気になって仕方なくて、仕事に支障をきたしている方がいます。

これらはほんの一例ですが、仕事の問題を抱えてカウンセリングにいらっしゃっても、根本的な問題は、
【お母さんと見えない鎖で繋がれて、がんじがらめになっていること】
である場合が多々あります。

例えば、
「同僚のやることなすことが気になって仕方なくて、仕事に支障をきたしている方」
の例を考えてみましょう。
こういう方は結構多いものですが、ご本人はとても仕事が出来る、というのも特徴です。ですが、相手の事が気になる度合いがひどくなると、仕事どころじゃなくなってメンタル不調に陥ってしまう場合もありますし、立場によってはパワハラを引き起こしてしまう場合もありますので、早めの対処が大事です。

ではどうすれば良いのかというと、
「『私は』どうしてあの人の事がこんなにも気になるんだろう?」
と、一度自分のこころを深堀りして欲しいのです。
あの人のここがイヤ!とか、ここがキライ!と、『あの人』に注目するのではなく、『私』に注目するのです。

職場にどうにもこうにも気になる相手が居るという人は、どこに行ってもそんな相手が登場するものです。そこで、
「私はどうしてあの人の事がこんなにも気になるんだろう?」
って考えると、気になる相手に共通した特徴が見えてきます。

ある女性は、どの職場に行っても気になって仕方ない同僚が登場するせいで、メンタル不調になり仕事がままならなくなってしまいました。同僚の何が気になるかというと、
「書類整理が出来ていない」
「デスクの使い方が汚い」
「私の傍を通る時に一言声を掛けない」
「自分の仕事しかしない」
といったような、はたから見ればほんの些細なことです。
ですが本人としては「社会人としてちゃんとやるべきことなのに、あの人はやらないんです!」と、主張します。確かにそれは正論なのですが、果たして自分自身をメンタル不調に追い込むようなほどの、重大案件なのでしょうか?

そこで、ご自分のこころを深堀りして貰ったところ、気になる同僚に共通点が見えてきました。それは、
「男性社員と仲良くしている・可愛い・ネイルなどのお洒落をしている・自分よりも若い女性」
そういうタイプだというです。

その人が抱えている問題と、その人が持つ才能は表裏一体です。
ということは、本来のこの方は「男性社員と仲良くしている・可愛い・ネイルなどのお洒落をしている」ような、いわゆる女性性の強い女性らしい方であるはずなのに、「女性らしさはダメなもの」として本来の自分を抑え込んでいるものだから、女性らしい女性が気になって仕方なくなるんですね。そして、相手の粗探しをしながらそんな自分に罪悪感を覚え、その罪悪感で自分自身を攻撃し、メンタル不調になるまで追い込んでいるのです。女性性が強いということは優しいということ。本来は優しい方なのです。

そうすると、カウンセラーとしては「なんでご自分の女性性を抑え込んでいるのですか?」という疑問がわいてきます。ここでお母さんが登場します。
お母さんの意向で、小さい頃からスカートを履いたことがなく、髪を伸ばしたこともなく、女の子がするような遊びをしたこともなく、男の子のように育てられてきた彼女。
「娘が女性らしくあること」をお母さんが嫌がったから、お母さんから気に入って貰えるように、お母さんの望むように生きてきたら、お化粧もしないお洒落もしない恋愛もしない、というような大人になりました。すべては「お母さんのために」。

大人になった今でもその状態を続けているということは【お母さんと見えない鎖で繋がれている状態】なのですが、本人はそれに気付いていません。ですが「女性らしさを封印すること」が本来の自分とは違うから「これは本当の私じゃない!」という潜在意識の思いが、問題という形で表面に出てきたのです。これは悪い状態ではなく、問題が表面上に出てきた今が、お母さんとの見えない鎖を外すチャンスなのです。

このような「問題の陰に母が居る」というケースはとても多いです。
「すべての責任を母親に負わせないで!」
「何でもかんでも母性に期待しないで!」
「母親だってひとりの未熟な人間なの!」
私もいち母親として、これらの意見は本当に良く分かります。ですがカウンセラーとしてクライアントに接していると、かくも母親の影響は大きいものなのかという事実を、痛感せずにはいられません。

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