あの上司のことが苦手なワケ

金曜日の夜は元気。

土曜日を過ごして日曜日になると、どんどん気持ちが落ち込んでくる。何度も何度も時計を見ては、時間が経過するのを確認。ああ…とうとう月曜日が来てしまう。そう考えると布団に入っても眠れません。お腹が痛くなったり、頭が痛くなったり、胸が痛くなったり、動悸がしたり、過呼吸を起こしてしまう人もいます。

そんなこんなで月曜日の朝。這いずるようにして起きたけど、仕事に行きたくない。いや、行きたくないんじゃなくて、行けないのです。出勤途中で嘔吐したり、電車に乗ったはいいけど体調が悪くなって途中下車、そのまま動けなくなったり。

私は何故か、こういう方たちに街中でしょっちゅう出会います。また、同じような相談も数多く受けます。

ここで最初にやって頂きたいのは、我慢することじゃなくて、メンタルクリニックか心療内科を受診することです。メンタル不調に陥っている可能性もありますし、身体の病気である可能性もありますので、まずはきちんと診断を受けて下さい。

そしてその上で、ぜひともカウンセリングを併用して頂きたいのです。病院は、症状をみてそれに合ったお薬を出してくれます。ですが、こころの傷が根っこにある場合、症状を改善するだけではこころの傷自体は無くならずそこに残ったままで、また同じ症状を身体に出現させてしまう場合があるからです。

さて、「どうして会社に行けないの?」という理由をお聞きすると「職場に苦手な上司や先輩が居るから」というパターンがよくあります。

特にこの苦手な上司や先輩というのは、「ミスをすると叱ってくれるんだけど、感情的で言い方がキツイ」というタイプである場合が多いです。感情的にわーっと叱られて、

「私ってなんてダメなんだろう…」という自己嫌悪に襲われたり、

「そんな言い方しなくても…」という怒りが湧いてきたり、

上司に恐怖を感じたり…などなど、色んな感情が押し寄せてパニックになりそうになるんだけど、上司の言ってることは正論だから何も言えない、というパターンです。

三大心理学者のひとり、アドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」という名言を残しましたが、まさに職場でも、仕事自体の悩みというよりも人間関係の悩みの方が、健康に大きく影響を与えているとも言えます。

では、どうしてその人のことが苦手だと感じるのでしょうか?それも、身体の調子を崩して仕事に行けなくなるほど。心理学的にはいくつかの理由が考えられますが、ここでは3つの可能性をお話します。

1つ目。

お父さん、お母さん、兄弟姉妹、親戚の人、学校の先生、部活の監督、前に勤めていた職場の上司といった、あなたが今まで出会った人たちの中に、【正論だけど感情的に否定してくる人】が居ませんでしたか?

もし、「いる!あの人だ!」と思い当たる人が居たとしたら、仮にその人をAさんと呼びます。あなたは過去、Aさんから感情的に否定されたことで、こころに傷を負いました。その傷と痛みは癒やされないまま、ずっとあなたのこころに残っています。あなたが成長して、Aさんと似たタイプの上司を目の前にした今、過去に受けたこころの傷と痛みが再現されてしまっているのです。表面に見えている問題は今の上司との関係性ですが、元々の根っこにあるのはAさんなのですね。ですから、Aさんとの関係性を扱っていく、というカウンセリングになります。

2つ目。

その上司のように、あなた自身も感情的になって誰かを強く否定することってありませんか?

こういうタイプの人って一見自信があるように見えて、実は「自分は価値のない人間」だという思いを抱えている場合があります。これを無価値観といいます。

無価値観が外側に向かう人が、相手を攻撃する人になります。自分より下だとみなした相手を攻撃する事で、「自分は価値のある人間なんだ」と思おうとするのです。

そして無価値観が内側に向かう人は、攻撃される人になります。「自分は価値のない人間だから、攻撃されて当たり前」だと思っているからです。

このように、攻撃する人もされる人も、根っこに抱えている無価値観という問題は同じなので、立場や場所が変われば、攻撃する人と攻撃される人の立場が入れ替わることもよくあります。つまり、他人に強く攻撃されるという事は、もしかしたらあなた自身にもそういう要素があるかもしれませんね、という話なんです。こういう方は、どうして無価値観を抱えるようになってしまったのか、その原因をさぐってあなた自身の価値を受け入れていく、というカウンセリングになります。

3つ目。

もともと自分に自信がなかったり、劣等感があったり、自己嫌悪が強かったりして、自分を嫌って自分を強く責めて生きてこなかったですか?

人のこころは、自分で自分を責めてない限り、他人からの言葉で傷付くことはありません。ですから、その上司の言葉がグサグサとこころに刺さるということは、あなたがあなた自身を責めて生きている可能性が高いということです。こういう方は、もっと自分を好きになること、もっと自分が自分を認めてあげること、もっと自分が自分を愛することに取り組むと良いのです。

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