「愛を乞うあたし」という小さな小さな存在~お母さんにお母さんの役割を求めるのをやめる~
昨日のコラムでは「夫や彼氏にお母さんの役割を求めるのをやめましょう。」というお話を書きました。簡単に言いますと、お母さんから大事にされて可愛がられて育った女性が、その立ち位置が心地良過ぎてお母さんから自立出来ずにいつまでも娘のままでいると、夫や彼氏にお母さんの代わりを求めてしまい、パートナーシップが上手くいかなくなることがある、というお話でした。
今日は、また別のパターンをお話します。
それは、子どものころにお母さんから満たされなかった想いを、抱え続けている女性の場合です。
「あたしは子どものころ、もっとお母さんに甘えたかった。だけどお母さんはお父さんと仲が悪くて毎日大変そうで、あたしはいつもお父さんの悪口の聞き役。だから子どもらしくお母さんに甘えるなんて出来なかった。」
「あたしはあたしの話を、ただお母さんにうんうんって聞いて欲しかっただけ。なのにお母さんは、いつもあたしの話を否定してきて。どんなにあたしが大変でも『そんなことぐらいで』なんて言ってきた。逆に『お母さんの方がもっと大変よ』なんて、すぐ自分の話にすり替えちゃうし。」
「あたしは子どものころからお母さんに褒められたことがない。どんなに勉強を頑張って全教科で良い成績を取っても、苦手な体育の成績が悪いことを必ず責められるし。それでもいつか褒めて欲しくて、大人になっても色んなことをずーっと頑張ってきた。でも未だに褒めて貰ったことなんかない。」
これらはぜんぶ、
「あたしは子どものころ、お母さんから愛して貰えなかった。」
という想いです。そういう想いを抱えたまま大人になると、その満たされなかった想いを満たすべく、夫や彼氏にお母さんの役割を求めてしまう、という現実が起こります。
子どもはお母さんが大好きです。だからお母さんに愛されようと頑張ります。だけど頑張っても頑張ってもお母さんは愛してくれない。そのうち思春期がきて、お母さんとのバトルが始まります。バトルを繰り広げているうちに「お母さんのことが大好き」という想いを忘れてしまったり、こころの奥に閉じ込めて鍵をかけてしまったりします。そうすると、お母さんとのバトルは大人になってからも延々と続くことになります。
お母さんに甘えられないが故に早くから自立する必要があるので、仕事はバリバリ出来てすごくしっかり者の女性となります。ですが実はお母さんに執着していて、親離れが出来ていないことが多いのです。見かけは大人の女性、だけどこころはずっと子どものまま、お母さんからの愛を乞い続けているのです。
こういうタイプの女性は、まず
「お母さん愛してる。お母さん大好き。」
と声に出して言ってみましょう。涙が溢れてきますね。泣くことで自分を癒やし、
「あー、あたしはお母さんを愛していたんだな。」
ということを思い出しましょう。そして
「こんなにも母からの愛を乞うているあたしが居る。」
ということを、受け入れてあげるのです。
ここで大事なのは「愛してくれなかったお母さんが悪い!」「あたしは悪くない!」というような、正しさの争いをしないことです。おそらくお母さんは、子どもに愛を与えるということがどういうことなのか、よく分からない人です。だけど「じゃあどうしてお母さんはそうなったの?」と突き詰めると、お母さんとおばあちゃんとの関係に、何か問題があったのかもしれません。そしてまたおばあちゃんも、おばあちゃんとひいおばあちゃんとの関係に、何か問題があったのかもしれません。
だから「誰が悪いのか」という悪者探しや「どっちが悪いのか」というジャッジをし始めると、キリがないし今のあなたの問題に何の解決にもならないからです。
さて、泣いて自分を癒やしたら
「これからは『母と娘』という関係から『大人の女同志』という関係に変わろう!」
と決めましょう。自分で意識して親離れをしていくのです。それが、お母さんにお母さんの役割を求めるのをやめる、ということです。ですが、
「『お母さんあたしを愛して!』と乞い続けている小さなあたし」
は、まだあなたのこころの中にいます。その小さなあたしをほっておくと、いつまでも他人からの愛を求めてやまない、つまり、お母さんにお母さんの役割を求めるのをやめても、夫や彼氏にお母さんの役割を求める、という状況を作ってしまいます。
だから「『あたしを愛して!』と乞い続けている小さなあたし」の想いは、大人になった今のあなた自身が満たしてあげるといいのです。大人になったあなたには、それが出来るはずなのです。