親を第三者目線で理解する事が、悩みを手放す大きな足掛かりになります

世界三大心理学者のひとりであるアドラーは「すべての悩みは対人関係の悩みである」という名言を残しましたが、確かに悩みというものは、仕事にしろプライベートにしろ生き方にしろ、対人関係の問題が根っこにある場合が多いものです。

さて、対人関係の作り方には人それぞれに癖がありまして「あなたがどういう風に対人関係を作っているのか」は、「過去、あなたと親がどういう関係性だったのか」ということがベースになります。つまり、対人関係の作り方を親から学ぶのです。ですから、もしあなたがいま問題を抱えているとするならば「すべての悩みは対人関係の悩みである」という前提のもと親との関係性を紐解いていくことが、問題解決に向かう為の大きな足掛かりになるのです。例えば急に高熱が出たとして、原因が分からなかったら不安だし、「もしかしたら大きな病気が隠れているんじゃないか?」って考えるし、不安が不安を呼んでどんどん体調が悪化したりしますよね。

だけど病院に行って検査をして「これインフルですね。」なんて原因が分かったら、それだけでホッとして、ちょっと気分が良くなったりするものです。こころの問題も同じで、親との関係性を紐解いていく事は、今の不調の原因はどこにあるのかを検査するようなもの。原因が分かるだけで「あーそうだったんだ!」と安心出来たりします。

ただ何となく親との関係性を思い出すだけだと「思い返せば返すほど、親は私に対してひどい親だった!」という感情が出てきます。確かにひどい親でした。子どものあなたにはどうする事も出来なかった。あなたは何も悪くありません。

ですが「私に対してひどい親だった」という理解で止まってしまうと、怒りや恨みや悲しみや不安といった場所から、前に進むことは出来ません。進めないだけではなく「親に対してこんな気持ちを持つなんて、私ってなんてひどい娘(息子)なんだろう!」と、逆に自分自身を責め、罪悪感まで抱えるようになってしまいます。そうなるとあなたはいつまでも辛いままです。

そこで「親を第三者目線で理解する」という方法をやってみましょう。

今のあなたは、生まれた時から【わたし】という出来上がった存在ではありません。まずあなたが持って生まれた気質があり、さらにあなたの周りに家族があり、さらにその周りに社会(学校・職場・地域)があり、さらにその周りに国があり、さらにその周りに時代があり…という風に、あなたを取り囲む周囲のもの全てが、あなたが産まれてから生きてきたその瞬間瞬間に、あなたに大きな影響を与えながら【わたし】という存在を作り上げてきたのです。

親もまた同じです。

まずお母さん(お父さん)自身が持って生まれた気質があり、さらにお母さん(お父さん)の周りに家族があり、さらにその周りに社会(学校・職場・地域)があり、さらにその周りに国があり、さらにその周りに時代があり…そうやってあなたのお母さん(お父さん)を取り囲む周囲のもの全てが、お母さん(お父さん)が生まれてから生きてきたその瞬間瞬間に、お母さん(お父さん)に大きな影響を与えながら【お母さん(お父さん)】という存在を作り上げてきたのです。

「親を第三者目線で理解する」とは、これら親の気質や周囲の環境を理解するということ。患者を診察する医者のように、あなたが親を診察する医者となるのです。自分の感情はひとまず置いておいて、あえてロジカルな思考を取ります。

親の誕生日はいつですか?

親の家系図は書けますか?

親の親(あなたにとっての祖父母)の職業は何ですか?

親が育った家庭は裕福でしたか?貧乏でしたか?

親の親(あなたにとっての祖父母)の夫婦関係は、親にどのように見えていましたか?

親のきょうだい関係はどうでしたか?

親とその親(あなたにとっての祖父母)との関係はどうでしたか?

親はどんな町で育ちましたか?

その町ではどんな事が流行っていましたか?

親はどんな小学校時代を過ごしましたか?

親はどんな中学校時代を過ごしましたか?

親が育った時代の常識って何でしたか?

両親はどうやって出会ったのですか?

両親はどんなお付き合いをしたのですか?

あなたが産まれたのは両親が何歳の時でしたか?

両親の職業って何ですか?

親はどんな思いでその仕事を選んだのですか?

その時代のその業界はどんな雰囲気だったでしょうか?

親はその仕事しながらどんな思いで毎日を過ごしていましたか?

両親の得意なことや不得意なことって何ですか?

などなど。カウンセリングでは、30項目にも及ぶ質問を埋める作業を、一緒にやっていきます。ですが、質問に全て答えられる方はまず居ません。つまり、不調を抱えているのに不調の原因を理解していないという事。そりゃ苦しくなりますよね。

決して無理強いはしませんが、答えられない項目は親に聞く、祖父母に聞く、親戚に聞く等の方法で、出来るだけ埋めて頂きます。この作業には、「親に向き合う」という覚悟も必要です。もし「親を理解するなんてどうしてもやりたくない!」という気持ちが出てきたら「なぜやりたくないのか?」を、一緒にこころの深くまで降りて探してみます。その上で、過去に受けた傷を癒したり、自己肯定感を上げていったり、自分軸をしっかり作ったりするカウンセリングを行います。

親を第三者目線で理解すると、次の選択肢が見えてきます。親とガッツリ離れるも良し、距離を置いて付き合うも良し。どんな選択肢でも、それはあなたがしっかり親と向き合って、うんうんと苦しんで、自分で見付けた道です。その道が【あなたらしさ】であり【個性】といいます。

この作業、覚悟・時間・手間、全て掛かりますが、やり遂げた先にあなたが得る恩恵は、とても大きなものです。自分の人生を自分で選び、起こる問題を華麗に対処しながら生きる事が出来るようになります。たとえ作業中に嫌な思いをしたり、苦しくなったりしても大丈夫。あなたの傍にはカウンセラーが居て、しっかり支えています。

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