空想の自分を演じる人～演技性パーソナリティ障害～

演技性パーソナリティ障害の特徴

1.自分の周囲にいる人たちを魅了して、注意を惹き付けないと、自分の存在が無価値になると思い込んでいます。ですが、ありのままの自分自身で他人を惹き付けようとするほど、自分を愛している訳ではありません。なので、自分が空想する幻の自分を作り出し、まるでその空想の自分が現実の自分であるかのように錯覚し、その役柄を演じてしまいます。その姿はまるで、ドラマの役柄を演じているようです。

2.演技性パーソナリティ障害の人は、他人の関心を引くためなら、自分をおとしめる事も自分を傷付ける事も、平気でやってしまいます。ですから演じる役柄は、ヒロインであったり清純派のお嬢さまだったりといったような、人も羨むような役柄だけでなく、幸薄い悲劇の女性だったりセクシーで性に奔放な女性だったりといったような、決して周囲から羨望されるような役柄ではない場合もあります。とても不安定で衝動性が高く、自殺・危なっかしい情事・薬物乱用・犯罪などに関わりやすいタイプでもあります。

また、パニック障害・頭痛・めまい・腹痛・痙攣・意識を失う・歩けなくなるといったような症状が出るのに「検査をしても異常なし」という「身体表現性障害」を合併する場合も多々あります。

3.常に現実の自分と空想の自分とが居るのですから、そこには当然ギャップが生じます。そしてそのギャップを嘘で穴埋めしようとします。この心理が虚言癖として現れます。

演技性パーソナリティ障害の人は、周囲を騙すために嘘をつくのではありません。自分のついた嘘で、周囲がひどく反応する事を望んでいるのです。例えば、自分は重病であると言ったり、犯罪の被害に遭ったと言ったり、学歴を詐称したり、名家の出であると言ったりして、周囲の人たちをあっと驚かせ、相手がひどく心配したり、動揺したり、感心したりといった反応が欲しいのです。そうやって嘘をついているうちに、自分でもその嘘が本当だと信じ込んでしまいます。

4.絶えず他者を引き付けようとしますが、その他者とは異性である場合が多いです。異性を誘惑し、うっとりとさせ、魅了し続ける事で、自分の価値を証明しなくてはならないと思っています。ですから波乱万丈の恋愛遍歴を重ねてしまいがちです。

5.いずれにしても彼らはパーソナリティを演じているので、「何となくわざとらしいな…」と周囲が違和感を感じてしまうのが普通です。ですが、あまりにも見事に役柄を演じていて、周囲がすっかり騙されてしまう場合もあります。そう考えると、優れた表現力や人を惹き付ける力や人を感動させる力を持っている人たちともいえます。その力を活かせば、タレントや俳優といったような、メディアの世界で生きるという選択肢もあるでしょう。

原因

本来子どもにとって、父親・母親というものはあまり性的なニュアンスを伴いません。ですが何らかの事情で「父親や母親が親である以上に男であり女であるという事実が露呈するような状況があった」。これが一要因としてあげられます。例えば、親の不倫や異性問題です。

克服のポイント

演技性パーソナリティ障害の人は、他者の気持ちばかりを気にして、つい周囲に合わせて振舞ってしまいます。皆を楽しませて愛される事で、自分の価値を保とうとするのです。そういう生活を子どもの頃からずっと続けているので、自分の気持ちをほったらかしにしてしまっています。

それに、自分の気持ちに向かい合おうとすると、虚しさや寂しさに飲み込まれてしまいそうで、それが怖くてつい刺激的な他者との関係に目をそらしてしまうのです。そのような生活はかえって心をむなしくしてしまうのに。

ですから克服のポイントは「自分自身を振り返る時間や自分自身と向かい合う時間を取る」という練習をする事です。本当の自分はどんな自分？本当の自分の気持ちはなに？自分は本当は何をしたいの？一人でやるのが難しければ、カウンセラーと一緒にやりましょう。

それと並行して、一人で自分のために過ごす時間を持ち、その時間を楽しむ事です。日記を書いたり、本を読んだり。植物を育てたり。新しい刺激を外部に求めるのではなく、自分の内側から湧いてくる刺激を大切にするのです。そうすると、自分の外側に向ける意識と、自分の内側に向ける意識のバランスが取れるようになります。

新しい刺激がなくても、人は幸せになれると信じて下さい。何も起こらない平凡な毎日を大切に生きる。ありふれた日常に感謝して生きる。そういう風に意識して生活する事が、演技性パーソナリティ障害を克服するための一端を担います。

参考文献

【知ることからはじめよう　みんなのメンタルヘルス】厚生労働省

【パーソナリティ障害　いかに接し、どう克服するか】岡田尊司　著



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演技性パーソナリティ障害の特徴

1.自分の周囲にいる人たちを魅了して、注意を惹き付けないと、自分の存在が無価値になると思い込んでいます。ですが、ありのままの自分自身で他人を惹き付けようとするほど、自分を愛している訳ではありません。なので、自分が空想する幻の自分を作り出し、まるでその空想の自分が現実の自分であるかのように錯覚し、その役柄を演じてしまいます。その姿はまるで、ドラマの役柄を演じているようです。

2.演技性パーソナリティ障害の人は、他人の関心を引くためなら、自分をおとしめる事も自分を傷付ける事も、平気でやってしまいます。ですから演じる役柄は、ヒロインであったり清純派のお嬢さまだったりといったような、人も羨むような役柄だけでなく、幸薄い悲劇の女性だったりセクシーで性に奔放な女性だったりといったような、決して周囲から羨望されるような役柄ではない場合もあります。とても不安定で衝動性が高く、自殺・危なっかしい情事・薬物乱用・犯罪などに関わりやすいタイプでもあります。

また、パニック障害・頭痛・めまい・腹痛・痙攣・意識を失う・歩けなくなるといったような症状が出るのに「検査をしても異常なし」という「身体表現性障害」を合併する場合も多々あります。

3.常に現実の自分と空想の自分とが居るのですから、そこには当然ギャップが生じます。そしてそのギャップを嘘で穴埋めしようとします。この心理が虚言癖として現れます。

演技性パーソナリティ障害の人は、周囲を騙すために嘘をつくのではありません。自分のついた嘘で、周囲がひどく反応する事を望んでいるのです。例えば、自分は重病であると言ったり、犯罪の被害に遭ったと言ったり、学歴を詐称したり、名家の出であると言ったりして、周囲の人たちをあっと驚かせ、相手がひどく心配したり、動揺したり、感心したりといった反応が欲しいのです。そうやって嘘をついているうちに、自分でもその嘘が本当だと信じ込んでしまいます。

4.絶えず他者を引き付けようとしますが、その他者とは異性である場合が多いです。異性を誘惑し、うっとりとさせ、魅了し続ける事で、自分の価値を証明しなくてはならないと思っています。ですから波乱万丈の恋愛遍歴を重ねてしまいがちです。

5.いずれにしても彼らはパーソナリティを演じているので、「何となくわざとらしいな…」と周囲が違和感を感じてしまうのが普通です。ですが、あまりにも見事に役柄を演じていて、周囲がすっかり騙されてしまう場合もあります。そう考えると、優れた表現力や人を惹き付ける力や人を感動させる力を持っている人たちともいえます。その力を活かせば、タレントや俳優といったような、メディアの世界で生きるという選択肢もあるでしょう。

原因

本来子どもにとって、父親・母親というものはあまり性的なニュアンスを伴いません。ですが何らかの事情で「父親や母親が親である以上に男であり女であるという事実が露呈するような状況があった」。これが一要因としてあげられます。例えば、親の不倫や異性問題です。

克服のポイント

演技性パーソナリティ障害の人は、他者の気持ちばかりを気にして、つい周囲に合わせて振舞ってしまいます。皆を楽しませて愛される事で、自分の価値を保とうとするのです。そういう生活を子どもの頃からずっと続けているので、自分の気持ちをほったらかしにしてしまっています。

それに、自分の気持ちに向かい合おうとすると、虚しさや寂しさに飲み込まれてしまいそうで、それが怖くてつい刺激的な他者との関係に目をそらしてしまうのです。そのような生活はかえって心をむなしくしてしまうのに。

ですから克服のポイントは「自分自身を振り返る時間や自分自身と向かい合う時間を取る」という練習をする事です。本当の自分はどんな自分？本当の自分の気持ちはなに？自分は本当は何をしたいの？一人でやるのが難しければ、カウンセラーと一緒にやりましょう。

それと並行して、一人で自分のために過ごす時間を持ち、その時間を楽しむ事です。日記を書いたり、本を読んだり。植物を育てたり。新しい刺激を外部に求めるのではなく、自分の内側から湧いてくる刺激を大切にするのです。そうすると、自分の外側に向ける意識と、自分の内側に向ける意識のバランスが取れるようになります。

新しい刺激がなくても、人は幸せになれると信じて下さい。何も起こらない平凡な毎日を大切に生きる。ありふれた日常に感謝して生きる。そういう風に意識して生活する事が、演技性パーソナリティ障害を克服するための一端を担います。

参考文献

【知ることからはじめよう　みんなのメンタルヘルス】厚生労働省

【パーソナリティ障害　いかに接し、どう克服するか】岡田尊司　著