恋愛は4人でやるもの

ユング心理学では、
「女性がこころの中に持っている男性像」を【アニムス】
「男性がこころの中に持っている女性像」を【アニマ】
と呼びますが、人は、この自分のこころの中に居る異性像(男性であればアニマ、女性であればアニムス)を、現実の異性へ投影して恋愛感情を抱きます。私たち人間は、自分のこころの中に居る異性にふさわしいと感じる相手に、魅力を感じるようにできているのです。
ですが皆さん、自分のこころの中の異性を、現実の異性に投影していることに気付いていません。

投影には激しい感情の揺れが伴いますので、恋愛の始まりには理屈では説明できない、抑えがたい情熱が現れます。
「なんでなのか分からないけど、好きでしょうがない」
「とにかく愛している」
「会いたくて会いたくて仕方ない」

ですが、自分のこころの中の異性と、現実の異性が大きく食い違う場合もあります。そんな時は「失恋」となったり、時間が経つにつれて冷めてしまったり、問題が起こって揉めたりします。

このような時に、
「あの人のここが悪い!」
「あの人がこんな事をするから!」
「あの人のこれにムカつく!」
と、相手を非難するだけの人は、恋愛によって得るものはそうありません。ですが、
「私は、私のこころの中のアニムス(アニマ)を、あの人に投影している。」
「ということは、この恋愛が上手くいかないのは、私のこころの中のアニムス(アニマ)に、何か原因があるのかも?」
と、相手の問題を、自分の内なる異性の問題として引き受けることが出来る人は、たとえこの恋愛が上手くいかなかったとしても、かけがえのないギフトを得ることが出来ます。それは【自分自身の人格の成長】というギフトです。

これを【投影の引き戻し】といいます

一見相手の問題のように見えるけど、「それは私の内なる異性が抱える問題を、私が相手に投影しているんだ」と捉え、自分自身に引き戻すということです。上手くいっているパートナー同士は、お互いがこの【投影】と【投影の引き戻し】を繰り返しながら、人格の成長を助け合っています。

男女は2人で恋愛をしているように見えますが、アニマとアニムスが居るので、実は4人で恋愛をしています。
1人目 男性
2人目 アニマ(男性のこころの中の女性)
3人目 女性
4人目 アニムス(女性のこころの中の男性)
4人の関係だから、恋愛や結婚に於いてのパートナーシップは、より複雑で難しいのです。

自分のこころの中に居る異性を現実の異性へ投影し、恋愛感情が始まると、投影した相手と「結合したい」という欲求が生じます。結合とは、異質なものの結びつきです。恋愛に於いては、異質な存在同志である男性と女性の性的結合が、これにあたります。

過去日本では、【愛】を清らかなもの、【性】を恥ずかしいものというイメージを持ちすぎていた時代がありました。愛の定義はとても幅広いものですが、異性間に限定すると【愛】と【性】を切り離して考えることはできません。愛する相手と結合したいと願って求めることは、愛の本質においてとても大事なことなのです。

【内なる異性との結合】

そこでまず、私たちが目指す必要があるのは【内なる異性との結合】です。
4人がバラバラでは恋愛が上手くいかないのは一目瞭然。まずは、自分と内なる異性が信頼し合い、愛し合い、ひとつになることで、その関係に見合った現実の異性が現れるのです。

では、内なる異性とひとつになるとは、どういうことでしょうか?
女性の皆さん、鏡を見て下さい。あなたの目の奥に、あなたのアニムス(内なる異性)が居ます。
あなたのアニムスは、あなたのお願いを叶えてくれますか?
あなたのアニムスは、あなたを大切に扱ってくれますか?
あなたのアニムスは、あなたを喜ばせようとしてくれますか?
あなたのアニムスは、あなたに魅力を感じ抱きたいと思っていますか?
あなたのアニムスは、あなたを愛しいと思っていますか?

あなたは、あなたのアニムスを信頼して可愛らしいお願いができますか?
あなたは、あなたのアニムスがあなたの為にしてくれた事に「ありがとう」って感謝していますか?
あなたは、あなたのアニムスに愛されるために美しくあろうとしていますか?
あなたは、あなたのアニムスを愛していますか?


参考文献:ユング心理学入門 河合隼雄 著

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